中国最南端のハワイと呼ばれるコーヒー農園やパイナップル畑が広がる海南島への、ローカルツアーのメニューの筏下りで行われた水鉄砲合戦です。
河下りの観光コースで船着場へ行くとビニールガッパに救命胴衣を着せられて筏に乗り込みました。
救命胴衣は分かるけど、「ビニールガッパはなんでやねん」と思いながら、別に観るべき所も無く大きく曲がる河を進んでいると、船頭のオッサンがブリキ缶に二十本ほど入っていた空気入れみたいのを乗客へ配ります。
彎曲を過ぎて河が広くなると遥か向こうから別の筏の列が近付いて来ました。
我々の後ろから付いて来た筏の列は、向かって来る筏の列を真ん中へ通すように我々と平行に距離を開きます。
遣って来た筏の列と擦れ違い始めて、なぜに互いの列が速度を落とすのと思ったら、先頭の筏から悲鳴や叫びが聞こえ出し、何事かと立ち上がって見ると、なんと驚く事に擦れ違う筏の列と水を掛け合っているのです。
違うツアーの中には水を浴びせられて、怒鳴りながら腕を振り上げて怒っている人がいました。
オッサンから渡されたのは空気入れじゃなくて、水鉄砲だったのです。
みんなは一斉に河から水を汲み上げて、ゆっくりと近付くテキを待ち構えます。
直ぐに射程に入りテキの水がドカドカと掛かり、みんなも矢継ぎ早に応戦し捲くりです。
めちゃ、バトルです。
筏下り体験が目的なのに、全然知らない人達が相手で、互いの事情も全く関係無しの完全な無礼講、突然始まる強力水鉄砲使用の遭遇戦、日本では有り得ない偶発的な非日常です。
直管の水鉄砲は入る水の量が多いので届い来て当たれば、かなりのショックが有ります。
飛距離と衝撃力は腕力しだいなので、何処の誰とも知らない相手へじゃんじゃん撃ち捲くりました。
老若男女へ、お構い無く打ち込み、打ち込まれます。
赤ん坊を抱えた女性や妊婦さんや高齢の方もいましたが、彼らは傘で防いでいました。
でも、かえって標的になっていたような…… 無抵抗相手に残忍になれる人間の一面を見てしまいます。
擦れ違う列は左右からの挟み撃ちでざんざんでしたね。
戦闘終了後は打たれて襟口から入って来た多量の水と、激しい運動で掻いた汗で下着までズブ濡れになって、ビニールガッパの意味無しでした。
深そうな河だったので、筏から転げ落ちなくて良かったです。