横須賀の三笠公園に保存されている戦艦「三笠」です。
周囲をコンクリートで固められていても、青空に聳える高いマストと陽光に鈍く輝くジャパニーズ・インペリアル・ネイビーグレーの船体色が勇ましいさを感じさせます。
1905年当時、日本海海戦を勝利に導いたイギリス製最新戦艦は思っていたより小さい船でした。
戦闘ブリッジに立ち、見回した三笠は世界最強だった主砲や装甲も物足り気でしたが、「皇国興廃在此一戦」の意のZ旗を掲げて単縦陣の戦艦群の先頭で180度の回答を行い、艦隊の並航戦を交えて行く連合艦隊指令長官の東郷平八郎は男心にカッコイイと思ってしまいました。
古来、一国の存亡を賭ける大きな戦いは、王や軍のトップが自ら率いて戦闘の指揮を執っていましたが、いったいいつから戦争を遂行決定する最高責任者は計画の始動と承認及び結果の批評だけの、実務は部下任せにするようになったんでしょうかねぇ?
日本海海戦で敗北して制海権がロシアに握られたまま日露戦争に負けていたなら、現在の日本はどのようなの状態になっているのでしょう?
窮乏から復興して今も戦争を繰り返しているのでしょうか?
それとも全然違う平和が訪れているのでしょうか?
ブリッジの指令長官の立ち位置プレート近くに残る弾片痕を見ながら、ふと「if」を考えてしまいました。
勝利に導いた殊勲艦の戦艦「三笠」は、ワシントン軍縮条約での廃艦除籍後に記念公園として固定されていたのに、敗戦後のソビエトの解体要請やアメリカ指導平和主義の真に受けで、ダンスホールや水族館にされるがままにスクラップにされるところを、イギリス人の嘆きによって再び記念艦として整備され、現在に至ってます。
荒廃を嘆いて保存を訴えてくれたイギリス人で貿易商のジョン・S・ルービンさん、執筆本で復元保存資金の寄付をしていただいたアメリカ海軍のチェスター・ニミッツ提督さん、お二人にサンキュー・ベリー・マッチです。