初めてキスチョコを食べたのは、幼稚園の頃だったと思います。
親父の弟で国際航路の貨物船の機関士だった叔父さんが、七尾港や神戸港に帰港するたびに実家を訪れ、私と妹への御土産として、よくキスチョコを持って来てくれていました。
そのキスチョコは、日本のチョコレートとは違う甘さが気に入って、直ぐに好きになりました。
けれど、たくさん食べると鼻血を出すとかで、毎日の食べる数は袋ごと保管する母と祖母によって、ずっと制限されていました。
叔父さんは年に二度くらいしか実家へ寄らず、また航路によっては寄港先にキスチョコが無くて、持って来ない時も有りましたが、中学三年生ごろまで続いたキスチョコの御土産を、いつも心待ちにしていました。
その後は、そのキスチョコの味覚が忘れられずに、大手デパートや量販店やインポート食料品店などへ行くたびに探していましたが、有りませんでした。
中国に常駐してからも、大都市や香港のショッピングモールで探しましたが、見付かるのはどれも新パッケージで味が違います。
四輪駆動の大きなレンタカーを自損事故してしまったハワイ島でも探しましたが、立ち寄った店では取り扱っていなかっただけなのか、見付けられませんでした。
それが、一時帰国時に会員になったコストコで、とうとうノスタルジーのキスチョコを見付けたのです。
探していたのは、キスチョコのミルクチョコレートでクラシック(伝統的)なパッケージのモノ。
甘さと味は、思い出のイメージのままでした。
でも、袋に入っている量が半端なく、330個入りで重さが56オンス(1ounceが28.53gなので、1.58㎏)も有り、アメリカの商品だと実感します。
ミルクチョコレート名は新パッケージにも有って、紛らわしいので勝手にキスチョコ・クラシックと呼んでます。
パッケージを開くと、日本のチョコレートと違うキスチョコ独特のミルク臭が香ります。
新パーケージとクラシックでは、味も、この個性的な臭いも、違います。
纏わり付くように漂うキスチョコの強い臭いを避ける方もいますが、クラシックの香りと味が気に入っています。
キスチョコのメーカーはハーシーズ、ハーシーズのチョコならアメリカ兵。
ならば、アメリカ軍の基地近くでアメリカ兵の家族御用達のスーパーにも有るかもと、沖縄へ遊びに行ったついでに立ち寄った嘉手納基地前の店でも見付けました。
そこには、コストコで手に入れた大容量タイプの1/6の量(260g/55piece)で、サイズ的に御手頃な大きさの袋入りのみが有りました。
沖縄へは時々行くのですが、それまでキスチョコを探すという発想はなく、サイパンでも探していませんでした。
兎に角、ずっと探していた思い出の味が見付かって、とても嬉しいです。
キスチョコは、変わらぬスライムみたいな形とメタリックな包み紙で天辺にフラッグのように翻る、白地にスカイブルーで KISSES® のロゴが入るリボンがキュートですね。
一時帰国する際には、必ず購入して、こちらで毎日少しづつ食べています。
キスチョコの名の由来は、製造ラインでコンベアの何処かが擦れ動く音や、チョコをキスチョコの形に搾り出す音が『チュッ』と鳴ったり、キスしているように見えたりするからとか、キスチョコを口に入れる時の唇がキスをする時の形になるとか、言われていますが、定かでは有りません。
私的には、トレジャーハンターがダンジョンの奥深くでメタルスライム系のチョコを見付けて、感謝のキスをしてから食べるってイメージかな。
PS:
中国のスーパーで売られているキスチョコのリボンのロゴは、青色の KISSES の文字に加えて赤色のも入ったり、中国語の『ありがとう』『甘いよ』『いいよ』『頑張れ』『愛してる』などの漢字もプリントされたりしています。
これは、日本の正月時期に北陸で売られている、短い御神籤の言葉が記された小さな和紙を薄い餅片の中に包んでいる辻占菓子と同じ発想かもですね。