この中国語で「明思克航母世界」と書くテーマパークは、退役して払い下げられた旧ソビエト海軍の航空母艦「ミンスク」を、そのまま係留して2000年にオープンした見学と体感のイベントパークです。
ウラジオストクに「ミンスク」が入渠できるドックが無い癖に、ソビエト太平洋艦隊に配属されて冷戦時代を日本を脅かした「ミンスク」が、その巨大な姿と搭載機や艦内外の格納庫内装備と武装などが当時のまま展示されていて驚きました。
格納庫内のステージではダンスショーが行われていますし、艦橋の司令室やデッキにも行けます。
各種武装が集中する艦首の先端へも、コックピットに乗れる艦載機やヘリコプターが展示されている飛行甲板の最艦尾へ勝手に増設された対空機関砲までも自由に行けて、触れたり操作したりできました。
(ハンドルをグルグル回して向きと角度を変えるだけ)
これらの船体を含めての展示物は少し離れて見る分には格好良いですが、間近に見て触れるとボロいのでちょっとがっかりです。
この国のテーマパーク(香港、マカオは除く)は外国人客が多く来ないと安全に関する最低限のメンテナンスしかしなくて、展示品など壊れて劣化するに任せています。
(まあ、テキトーに修復されて歴史的背景にそぐわないモノになると、劣化以上にがっかりするんですけどね)
全長273m、全幅53m、排水量41000t、最大速力32ノット、搭載機38機や各種の強力な攻撃力を持つキエフ級航空巡洋艦の2番艦の「ミンスク」は1974年に進水して、1991年に除籍されました。
共産主義国家のソビエトが崩壊してロシアとなり西側諸国との冷戦が解消すると、過剰武装でモスボールされていた「ミンスク」は1995年に鉄屑として韓国へ売却されました。
それを中国がテーマパークにしたいと持ち掛けて転売されたのが1997年でした。
中国は同型1番艦の「キエフ」も2000年にロシアから購入していて、天津市のテーマパーク「天津滨海新区航母旅游区」になっています。
「天津滨海新区航母旅游区」へは、今のところ機会が無いので行っていません。
同型艦は4隻で、他の2隻の3番艦「ノヴォロシースク」は1996年に鉄屑として韓国へ売られて1997年に解体されました。
4番艦の「バクー」は2004年にインド海軍へ売却されて全通甲板空母への改装工事が行われていますが、未だに完成に至っていません。