遥乃陽 diary

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琴ヶ浜(石川県)の玄武岩製柱状節理

石川県輪島市門前町劔地の琴ヶ浜は、石英を多く含む花崗岩が崩れてできた砂の浜で、乾燥した日の凪いだ時刻に崖際に堆積した砂を踏むと「グキュ、グキュ」と音が聞こえて来る鳴き砂/泣き砂で有名です。

其の崖の反対面の南側一面には、玄武岩の溶岩で造形された柱状節理の接合部の露出が被さって来る迫力で観られます。

節理とは、物事道理/道筋/理(ことわり)と物の表面に現われた模様、肌理(きめ)、そして岩石割れ目や筋目を指す言葉です。

北陸の柱状節理の場所として有名なのは、福井県の観光名所『東尋坊』の絶壁群と北側に4㎞ほど離れて橋で行き来できる鬱蒼とした原生林の神の島『雄島』の崖壁、それに其の中間に連なる『荒磯遊歩道』です。

これらの力強く雄大な柱状節理の断崖群は、明灰色の輝石安山岩(ダサイト岩)で構成されていますが、琴ヶ浜の柱状節理は黒色の玄武岩で、掌大の欠片でも重くて硬いです。

腐食に強いらしく塩分による酸化(錆)は見られず、風化の劣化(崖面の節理は多少角が丸められている程度)も殆ど有りません。

波に洗われている渚の大きな柱状節理の塊は、黒々として表面が滑らかです。

柱状節理はトロトロしたシチューのような溶岩の流れ筋が冷えて固まった物です。

束状になっているのは、柱状節理を造る溶岩の性質に因るもので、ゆっくりと冷える流れが分裂して物理的に隙間なく安定密着する六角形の断面で纏まるからです。

棒状の外側部分が薄皮のような硬さで撓りが有って破れず、中が粘っこい餅で満たされていて、そんな棒状物を束に括って密着させると、周囲の全方向からの加わる均等な圧力で断面を六角形して安定させます。

東尋坊の柱状節理は1300万年前の噴火の溶岩で形成されました。

石川県加賀市の片野浜に在る長者屋敷跡と呼ばれる木屑の化石を含んだ奇岩群は、火砕流で形成された軽石凝灰石の塊です。

白山山麓の石切り場からは凝灰岩を産出しています。

琴ヶ浜近くに断崖の連なる景勝地の『能登金剛』が在りますが、其処に柱状節理を見掛けていません。

ダイヤモンドを生成するような地底の深部からシャバシャバに溶けた高流動のマグマが超音速で噴き出した溶岩ではなくて残念ですが、このような柱状節理が輪島市門前町の海岸に見られるという事は、遥かな大昔に能登半島付近にも火山の噴火が有って地表近くの溶岩を噴出させたのでしょうか?

それとも、巨大な隕石の衝突で富山湾が造形されて、周囲の盛り上がりでマグマが圧し出されて来たのでしょうか?

最奥能登の珠洲市で発生している地震の震源地、地下10㎞にはプヨプヨのマグマ溜まりが存在するのでしょうか?

崖壁一面に広がる玄武岩の柱状節理の接合部の模様は、見上げて見ていると太古の地質変動のロマンに誘われてしまいます。

透明な石英が多い白い砂浜と、黒い砂鉄模様が美しい砂岩の崖からの流れ筋、そして黒っぽい玄武岩の柱状節理の接合部、寄せる波頭の向こう、どんな地層が海底に沈んでいるのでしょう。